50代になると顕著になるのが「体型の衰え」。
と思うのは私も同じです。
ただし「体型」って下着の着け方で全然変わるんですよ。
今回は、下着のフィッティングアドバイザーとして、延べ3000人くらいの方にアドバイスしてきた私が「少しでも体型をきれいに見せる下着のつけ方」を悩み別に解説しています。
下着をきちんと着けると、着られる洋服も増えておしゃれの幅も広がります。是非参考にしてくださいね。
50代女性の体型
女性の体型は20才代をピークに年々衰えていきます。特に50代は、更年期や閉経などを迎え、体型や体調が変化する時期です。特に、
- 基礎代謝が落ちる
- 筋肉が急激に衰える
- 皮膚に弾力がなくなる
- 女性ホルモンが減少する
などが一気にやってくるため、体型も「ガクン」と劣化する頃。
20~30代であれば下垂した脂肪もある程度戻すことができますが、50代になると体型を「整える」ことはできても「元に戻す」ことはできません。
体型の悩み別下着の付け方
体型は100人いたら100通り。他人の体型を見てうらやましく思うこともありますが、実はその人のコンプレックスだったりすることも。
みなさんは、どんな悩みをお持ちですか?
バストが小さいので大きく見せたい
バストが小さいことを悩んでいる方は「分厚いパッドの入ったブラ」を選びがちですが、本当は、「パッドに頼らないで自力で大きく見せることはできないか」と考えている方が多いものです。
そんな希望を叶えてくれるのが「ボディスーツ」と「ウエストニッパー」です。
おすすめアイテムその1「ボディスーツ」
バストの小さい方におすすめしたいのが「ボディスーツ」です。
「えっ、太ってないしお肉もないし…」と思うでしょう?バストの小さい方は基本的に痩せてる方が多いので、ボディースーツなど考えてみたことがないかもしれません。
しかし「お肉が全然ない」という50代女性はいません。どんなに痩せている方でもやわらかいお肉が必ずついているもの。
ただし注意点が一つ。
なぜなら、ホックが下すぎると「下へ下へ」引っ張られ肩にも負担がかかるから。
「ボディースーツ着ると肩が凝るのよ」という方の多くは着け方が間違っていることがほとんどです。
おすすめアイテムその2「ウエストニッパー」
ウエストニッパーをバストの下ギリギリのところで巻いてやると、バストを持ち上げた状態になりバストに膨らみが出ます。
「お腹をひっこめることでバストを高く見せる」という方法ですが、少なからず胃を圧迫するので、食事に出かけるときなどは避けたほうが無難です。
バストが大きい
「バストが大きすぎるのが悩み」という方も少なくありません。実は私もその一人。
バストの大きい方は、目立たせたくないからという理由で小さいブラジャーをつけて、バストをつぶしている人を良く見かけますが、老けた印象になったり、圧迫されて肩こりの原因にもなる場合も。
肩ひもの幅が太いもの、フックの留め金が3段のものなど、大きなバストを支えられるブラジャー選びが重要です。
また、バストばかりにとらわれず、くびれたウェストを作る、お尻のラインをキレイにする、下腹部をひっこめる等、他の部分を補正してバストだけに目が行かないようにすることも効果的。
具体的には、
- バストラインが出すぎるものを着ない
- ボトムにフレアースカートやAラインのロングスカートなどを履いて下半身に重心を置く
などもおすすめですよ。
バストが左右に離れている
日本人は「八の字型」のバストが多いという特徴があります。
ただし、寄せすぎは厳禁。女性の体型の美しさはあくまでもバランスなので、寄りすぎているバストは逆に不自然です。
バストを寄せるには、いわゆる「寄せるブラジャー」を使うのが簡単ですが、「寄せブラ」はアンダーに太めのワイヤーが入っていたり両サイドに寄せるための厚いパッドがついているので、意外と体が疲れるもの。
おすすめの方法は、「ブラジャーのサイズを変えて寄せる」こと。
例えば、C80→D75、B75→C70というように、アンダーサイズを小さくすればカップ幅は多少寄ります。その代わり、カップの容量は深くしてあげなければいけません。
お腹が出ているのでひっこめたい
50代女性のほとんどは「お腹が出ているのが悩み」といいます。お腹が出ていると着られる洋服が限られるし、全身のバランスも良くないですよね。
ただし、一口に「お腹が出ている」といっても2通りのパターンがあり、それぞれの対処方法が異なります。
胃の上が出ている
「胃の上が出ている」のは胃下垂の方に多いパターン。
お店に行くとボディースーツを勧められるかもしれませんが、胃の部分にネットが張ってあるものでなければ効果はありませんし、胃を押さえることは多少なりとも「圧迫感」があります。
おすすめの対処方法は、
目の錯覚を利用した方法ですが、この方法は意外と盲点で、多くのお客様に喜ばれた方法です。
下腹部がぽっこり出ている
下腹部の「ぽっこり」は女性の80%が抱える悩み。
いろいろな原因がありますが一番の原因は出産。出産によって疲れた子宮を外敵から守るため、子宮の上の脂肪が厚みを増すと言われています。
素敵な理由ですが何とかしたい!
ガードルで対処している方が多いと思いますが、
ちなみにロングガードルはお尻のブラジャーなので、どちらかというとお尻と太もものために履くもの。お腹だけというのであれば下腹部にパワーネットを貼ったショートガードルが効果的です。
ただし、リンパの流れをさまたげないように、太ももの付け根に食い込まないデザインを選んで下さいね。
ヒップが下がっている
鏡で後ろ姿を見た時、ヒップが下がっているどころか「お尻がない!」と思った方はいませんか?
なぜなら50代になるとお尻の肉が下垂し、太ももと一体化するからです。
自分では気づきにくいのですが、他人からは「お尻の位置が下がっている=足が短く見えている」という悲しい結果に。
特に、ジーンズやストレートなパンツを履く時は、必ずロングガードルを履いてお尻を持ち上げましょう。
ポイントはお尻の下のタプタプした部分。下着業界では「もう一つのお尻」と呼んでいる部分をガードルに入れ込むことが足が長くみえるコツです。
また、意外と間違っているのがガードルサイズの選び方。
ヒップが大きい方だとウエストが余ってしまう場合がありますが、そもそもロングガードルは「お尻のブラジャー」なのでウエストは合わなくてOK。
ウエストサイズで選んだためにお尻をつぶし、もう一つのお尻を自ら作っている方が意外と多いんですよ。
ブラジャーをすると肩が凝る
ブラジャーしないと見栄えが悪いのはわかっているけど、どうしても肩が凝ってつけられないという方もいらっしゃるでしょう。私も体質的にしょっちゅう肩が凝ります。
ただし、原因はブラジャーのせいばかりではありません。
- 「同じ姿勢を取り続ける」
- 「スマホなどの使いすぎによる眼精疲労」
- 「加齢や運動不足による筋肉の衰え」
- 「家庭環境の変化や職場のストレス」
- 「更年期障害」
なども大きく影響します。
また、ブラジャーのサイズが合ってなかったり、傷んだブラジャーをつけているのも肩こりの原因になる場合があります。ちょっとお手持ちのブラジャーを眺めてみて下さい。
チェックポイントは3つです。
肩ひもの幅
肩ひもの幅は、できれば1.5センチくらいあるものが理想です。なぜなら、あまり細いと肩に食い込むからです。
ブラジャーは、アンダーの力でバストを支え、肩ひもは肩に乗っかってるだけというのが理想です。
フックの留め金
フックの留め金は2段以上あるものがおすすめです。1段のものだと細すぎてバストの下に食い込みがちですし、バストの重みを支えきれないからです。
下垂した40~50代のバストにはかなりの重力がかかっていますから、2段か3段の幅が必要です。
使用年数
下着の盲点が「使用年数」。実はブラジャーの寿命は半年~1年くらいと言われています。
えっ、そんなに短いの?って思いますよね。
寿命といってもボロボロになるわけではなく、生地が劣化することでバストを支える力が弱くなるという意味。新品とつけ比べると一目瞭然、補正力の差に気づくはずですよ。
とはいえ、そんなにちょくちょく買い換えてもいられないので、長持ちさせるためにお洗濯の時間を短くしてみて下さい。
本当は手洗いが理想ですが大変なので、ほんの2~3分洗濯機で軽~く洗いましょう。それだけでも長持ちしますよ。
下着の豆知識
下着に関する、ちょっと役に立つ豆知識をご紹介します。
寝るときもブラジャーは必要?
20~30代の方はまだ脂肪が動く力があるので、寝る時もブラジャーをつけることで体型の崩れを予防できるといわれています。
50代以降は、体型の崩れを食い止めるのは難しいですが、人によってはブラジャーをつけて寝たほうが安眠できるという方もいらっしゃるようですね。
というのも、バストの重さは、バストの大きい方でしたら片方1.5キロ、両方で3キロと言われていますから、3キロの錘(おもり)とともに寝返りをうつことに!
人によっては寝ているときも柔らかいブラジャーをつけたほうが良い場合もあるかもしれません。
ブラジャーの採寸ってほんとに必要?
採寸は大事です。ただし「正しい採寸ならば」という条件付き。なぜなら、年齢が高くなるほど正しい採寸が難しくなるからです。
そもそも「バストを測ります」と言われたとき、50代の方のバストトップはどこにありますか?本来のあるべき場所のはるか下の方ですよね?
おまけにバストトップだけでなくアンダーそのものもかなり下垂しているので、バストもアンダーも本来の正しい位置に持ち上げて採寸しないと本当のサイズは測れません。
また、下着は一日中身に着けているものなので「着け心地」も大事な要素。
50代以降の下着選びは、サイズだけに頼るのではなく肌触り、着け心地、デザインなどを総合して選ぶものと私は考えています。
暑がりだから冬でも肌着を着ない?
普段からあまり肌着を着ない、冬はTシャツを着てるから大丈夫!という方がいらっしゃいますが、Tシャツは肌に密着しないので肌着の代わりにはなりません。
人工的に保温効果が得られないと、
そんな恐ろしいことにならないように、肌に密着するインナーを着てくださいね。
また、汗をかくのは夏ばかりではありません。冬は暖房のきいたところで過ごすことが多いため、意外と汗や皮脂が出ています。それらをインナーが吸い取ってくれることで私たちの肌を守ってくれているのですね。
ランジェリーも体型補正に役立つの?
50代女性に積極的に使っていただきたいのが、キャミソールやスリップなどのランジェリーです。
ランジェリーそのものに補正効果はありませんが、すべりを良くすることで「お腹周りに洋服が密着しない」ため、洋服のラインがきれいに見えるからです。
また、素敵なランジェリーを身に着けることで幸せホルモンが活性化するという意外なデータも!
下着の色が昔から「ピンク」が多いのは、女性ホルモンを出しやすい色だと言われているからなんですよ。
体型補正にショーツは関係ない?
最近の若い女の子は、お尻の下がぷっくりしている子が多い。
これは、子供のころから可愛い小さいショーツをはいてきた結果、お尻がショーツからはみ出てしまった結果です。
17~18才の子に、でっかいおばさんパンツを履きなさいとは言いませんが、普段はもう少しお尻を包み込む形のものを履いたほうがいいと思うのが親心。
そもそも、お尻の皮膚に直接触れるのはガードルではなくショーツです。脂肪というのは直接触れるものの命令で移動するので、ショーツってすごく大事。
さすがに50代以降は、ショーツでの補正効果は得られませんが、加齢と共に肌が敏感になるため、できれば縫い目がなくてゴロゴロしないもの、足の付け根に食い込まないものを選ぶとよいでしょう。
ボディスーツを着るとスタイルが良くなる?
ボディスーツは「アウターをきれいに見せたい」「きついスカートをはけるようにしたい」などの時には即効性があり、50代女性に是非おすすめしたいアイテムです。
私も愛用していますが、ブラジャーのようにアンダーに食い込むこともなく、着け方を間違えなければブラジャーよりラク!
ただしボディースーツは、一部の補正下着を除いて体型そのものを補正するものではなく、あくまでもアウターをキレイに着こなすために体の線を瞬間的に整える一時的な手段です。
むしろ毎日ボディースーツを着続けると「ずんどう体型」になる恐れも。
本当の補正はショーツ・ブラジャー・ガードルで整えていくべきであり、若い方には基本形でお勧めしていますが、私たち50代女性にとっては、見た目を美しくするという目的で、ボディスーツは必須アイテムです。
ボディスーツは背の高い人には向かない?
比較的背の高い方(160センチ以上)がボディスーツを選ぶときは注意が必要です。
なぜなら、身長が高いと「前身ごろ(首から恥骨のあたり)」も長くなりますよね?
この部分が長めのものを市販品で探すのは難しく、よほど上手な着け方をしなければ下にひっぱれてしまい「肩に食い込んで疲れる」ことになりかねません。
素材がやわらかく伸びが良いもの、見ごろの長いデザインのものを選ぶ、もしくは、ボディシェーパー(腰までのタイプ)とガードルを合わせるのをおすすめします。
最後に/まとめ
今回は、【50代の体型の崩れ】プロが教える体型をきれいに見せる下着のつけ方というテーマで、
- 50代女性の体型の変化
- 体型の悩み別下着の付け方
- 下着の豆知識
についてご紹介しました。
50代という年齢は心身ともに微妙な年代です。「もうおばさんだから」と口ではいっても、「何とかなるならないかな…」と思っている方が多いのも事実。
今日からちょっと下着の着け方を意識してみてください。まだまだキレイになれますよ!