渡辺淳一の若い頃や全作品を見るなら「渡辺淳一文学館」がおすすめ

学び
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私は昔から「渡辺淳一」さんの小説が大好きです。単行本はほとんど制覇しましたし映画化されたものやドラマも必ず見ていました。

今回初めて、札幌にある「渡辺淳一文学館」を訪れ、先生の若かりし頃の写真を見たり過去の作品を読んだりと至福のひとときを過ごしました。

許可を得て館内の一部も撮影しましたので是非最後までご覧ください。

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渡辺淳一プロフィール

1933年(昭和8年)10月24日、父・鉄次郎と母・ミドリの長男として生まれる。

母は、歌志内市最大の商家渡辺家の末娘。父が札幌工業高等学校教諭となったことをきっかけに札幌市に定住。本籍地は札幌市中央区南7条西22丁目。

札幌第一中学校(現札幌南高校)在学中に文学に興味を持ち、そこで出会った加清純子(『阿寒に果つ』の時任純子のモデル)の存在は、その後の執筆にも大きく影響することになる。

札幌南高校卒業後は北海道大学理類に進み、教養課程修了後に札幌医科大学医学部に進学。医大文芸部に所属する。

1957年より同人誌「凍檣」(1959年より「くりま」と改称)に参加。「テレビ・ドラマ」誌脚本募集に『人工心肺』で入選し、NHK、北海道放送、札幌テレビ等に脚本を書く。

1964年札幌医科大学助手、1966年同大医学部整形外科教室講師。

医師の仕事と並行し「くりま」に執筆を続け、「死化粧」が新潮同人雑誌賞を受賞、芥川賞候補に選ばれたことで一躍名が知れわたるも、札幌医科大学の和田寿郎教授による「和田移植」を題材にした『小説・心臓移植』(後の『白い宴』)を発表したことで大学に居づらくなり札幌医大を去る。

1970年には「光と影」で直木賞。その後は医療をテーマにした作品ばかりでなく、独自の恋愛論を元にした作品『化身』『失楽園』『愛の流刑地』などで名をはせた。

2014年4月30日午後11時42分、前立腺癌のため東京都内の自宅で死去。80歳。法名は「愛楽院釋淳信」、杉並区の築地本願寺和田堀廟所に眠っている。

医師としての経歴

1954年 札幌医科大学医学部入学
1958年 札幌医科大学医学部卒業
三井厚生病院(現三井記念病院)でインターン
1959年 医師免許取得
札幌医科大学大学院医学研究科博士課程入学
1963年 大学院修了、医学博士(論文名『P32による骨移植の実験的研究』)
1964年 札幌医科大学整形外科教室助手
1966年 札幌医科大学整形外科教室講師
1969年 札幌医科大学を退職し作家専業となる

\ 札幌医科大学附属病院の歴史がよくわかる本 /
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渡辺淳一のおすすめ小説10選

『リラ冷えの街』

昔、人工授精のためのドナーとして精子を提供した男性が、数年後、提供を受けた女性と偶然に出会うという、いわゆる「人工授精」をテーマにした物語ですが、「人工授精」そのものより、それをきっかけに出会った男女の性愛を描いた作品です。

この作品をきっかけに北海道の気候を表現した「リラ冷え」という言葉が定着したと言われています。

『無影燈』

外科医として一流の腕をもつ医師が、大学病院を辞めて個人病院の医師となった。

腕は確かだが多くを語らずどこか影のある横顔に好意を寄せる女性は多かったが、たとえ一夜を共にしても決して心を開こうとはしなかった。

なぜなら彼は「多発性骨髄腫」という癌におかされており自身の余命を悟っていたから。

この作品は、猟銃自殺という形でこの世を去った田宮二郎さん主演で映画(白い影)にもなりました。その後も、SMAPの中居くん主演で再度公開されるなど、世代を越えて人気のある作品となっています。

「白い巨塔」と並ぶ、医療ドラマの最高傑作といっても過言ではないでしょう。

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『阿寒に果つ』

天才少女画家と騒がれながら、冬の阿寒湖で謎の死を遂げた加清純子。純子が描いた一枚の絵から、なぜ彼女が自殺したのかを探る作品です。

渡辺淳一さんが札幌南高校時代に出会い、初恋の女性とも言える実在の人物がモデルになっています。

別れぬ理由

大手病院で整形外科医長を務める修平と妻で雑誌記者の房子。子供にも手がかからなくなり、平和な家庭を築いていた夫婦だったが、ある日夫にも妻にも愛人がいることが発覚。

2人は相手の心の裏を読み取ろうと腹をさぐりあい、おとぼけ芝居を繰り返す。

渡辺淳一さんと親交の深かった当時の東映社長の岡田茂さんが原作を気に入り、映画化が実現したんだとか。

大手病院の整形外科医長というのも、ご自分をオーバーラップさせているというのは考えすぎでしょうか。

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『白い宴』

功名心か?それとも必要な医療か?当時、是非が問われた日本初の心臓移植手術「和田移植」を描いた作品です。

その頃、渡辺淳一さんは札幌医大の整形外科で講師をしており、この作品で臓器移植についての見解を述べたことで大学に居づらくなり医大を退職。

その悔しさがバネとなり、作家・渡辺淳一を確固たるものにしたと言われています。

『雲の階段』

深刻な医師不足に悩まされていた過疎の島の診療所で、「無資格医」として勤務する青年をとりまく二人の女性の愛憎を描いた作品。

長谷川博己主演でドラマ化され、平均10%前後の視聴率を維持する人気ドラマとなりました。

渡辺淳一さんが存命している時にドラマ化された最後の作品です。

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『失楽園』

出版社の第一線で活躍していた編集者の男が、突如暇な部署への異動を命じられる。失意の彼を救ったのは、友人の勤め先の美しい人妻だった。

互いに結婚していながら惹かれあう2人の逢瀬は、次第に濃密さを増していく。

発行部数は260万部を突破するほどのベストセラーとなり黒木瞳主演で映画化もされ、渡辺淳一さんが医師というより恋愛小説の巨匠というイメージが定着した作品です。

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『いま脳死をどう考えるか』

和田移植をきっかけに、日本で移植医療を語るのはタブーとされる中で、臓器移植についての見解を赤裸々に語った随筆作品です。

文中にもありますが、「脳死」=「人の死」という理論に反対していた梅原猛さんの意見に、真っ向反論する内容となっています。

脳死移植が認められていない時代に苦肉の策として行われた「生体肝移植」についてもわかりやすく書かれています。

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『鈍感力』

『世間ではシャープで鋭敏なことが優れているという認識があるが、果たしてそうだろうか』

医師としての経験や作家としての眼差しを通じて、些細なことで揺るがない「鈍さ」こそ、生きていく上で最も大切で、ある意味才能だと説いています。

「渡辺淳一文化館」の展示にも「人間は忘れられるという能力を持っている」という言葉があり、すごく納得しました。

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『エ・アロール それがどうしたの』

老いても枯れることなく精力的に第二の人生を謳歌する、老人ホームの入居者たちを描いている作品です。

入居者同士の恋愛騒動や様々なトラブルに振り回されながらも、エ・アロール(フランス語で「それがどうしたの」)の精神で乗り切っていく様子が描かれています。

もともと中日新聞・東京新聞・北海道新聞・西日本新聞の連載小説であり、2003年にTBS系にてドラマ化されました。

渡辺淳一文学館

渡辺淳一文学館の内部をご紹介しましょう。2Fは撮影NGですが、1FはOKでしたので撮らせていただきました。

▼ 喫茶でお茶や軽食を楽しみながら本を読むことができます。
1F 喫茶室の壁
自身の著書だけでなく愛読していた本や、文学館の設計者である安藤忠雄さんの著書も展示されています
逆側も全面ガラス張りで開放的ですよ
こんなことも出来ます

渡辺淳一文学館の営業時間・入館料・アクセス

営業時間

  • 夏季(4月~10月)9:30~18:00 
  • 冬季(11月~3月)9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで

毎週月曜日は休館です。(月曜と祝日が重なる場合は開館。翌平日が休館)

入館料

一般500円
高校・大学生 ※学生証提示300円
小・中学生 ※中学生は学生証提示50円
団体割引(20人以上)400円
障がい者割引 本人及び付き添い1名
※障がい者手帳の提示
各300円

アクセス

住所:〒064-0912 北海道札幌市中央区南12条西6丁目414

  • 新千歳空港より車で60分
  • JR札幌駅より車で15分
  • 地下鉄南北線「中島公園」3番出口より徒歩8分
  • 市電 中島公園通より徒歩3分 ※鴨々川沿い、コンサートホールKitaraの西隣

お車で来られる方へ

駐車場は建物入り口にありますが一方通行のため、市電の「中島公園通」からキタラに向かって入ってください。

最後に/まとめ

今回は、作家・渡辺淳一さんの大ファンである私が、『渡辺淳一の若い頃や全作品を振り返るには「渡辺淳一文学館」が最高』と題して、下記の内容をご紹介しました。

  • 渡辺淳一プロフィール
  • 医師としての経歴
  • 渡辺淳一代表作
  • 渡辺淳一文学館について

亡くなってもう8年もたちますが、今でも「白い影」(無影燈)や「失楽園」は動画配信サービスでも人気がありますし、良い作品というのは世代を超えて愛されるものなんですね。

渡辺淳一文学館は、音楽ホールKitaraに面した緑の多いロケーションの中にあります。Kitaraの中を散策するついでに是非立ち寄ってみてください。

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